3児の母 マレーシアへ行く

7歳 6歳 2歳 ワンオペ助産師ママ2019年夏からマレーシア生活開始(帰国済)

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助産師という職業

職場復帰を果たしてしみじみと「あーこの仕事、好きだなぁ。」と感じています。そんな私の職業は助産です。

看護師に比べると圧倒的に認知度が低い助産師。でも私はこの助産師という職業を多くの方に知って欲しいのです。

令和一発目の記事は、助産師】という職業をご紹介したいと思います。

 

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助産師の仕事:分娩介助

 

助産師とは

助産師(じょさんし、英語: midwife)とは、助産行為の専門職であり、妊娠、出産、産後ケア、女性の性保健(婦人科検査、家族計画、更年期ケア)、新生児ケアなどを分野とする。かつて腰抱き、産婆、助産婦などと呼称された職業の発展形。

Wikipediaからの引用

お産を経験された方や周りにそういう方がいる方は助産師のことをご存知の様子です。確かに私達助産師は妊娠・出産の場面に多く存在しています。でも周りにお産を経験された方がいないとあまり知られていないようです。
かくいう私も高校生の時に「オニババ化する女達」という新書を読むまで知りませんでした。

 

オニババ化する女たち 女性の身体性を取り戻す (光文社新書)

オニババ化する女たち 女性の身体性を取り戻す (光文社新書)

 

 話は少々脱線しますが、この新書の中で昔の人(確か江戸時代くらいの人)は月経も出す出さないをコントロールできたと書かれていて驚きました。でも確かに…排尿・排便のコントロールができるんだからやればできるのかも…と思ってトライした高校生の若かりし日々…。

日本だけでなくブラジルのお産、それにまつわる家族の話などなかなか興味深いですよ。ちなみに怖いオニババは出てきませんよ(笑)女性はもちろん、男性も読んでみると面白いと思います。

世界最古の職業の一つ:産婆

世界最古の職業としてよく知られているのは娼婦ですが、産婆も世界最古の職業なんです。古代エジプト時代の記録に残っているのですから!

大昔から続く原始的な仕事というわけです。
今日本の帝王切開率は20〜25%と言われていますし、麻酔分娩を希望される妊婦さんも増えています。時代によってお産の方法は少しずつ変わっていくのかもしれませんが、赤ちゃんをお腹の中で育てて、そして産んで新しい家族になる、その工程が100%人工的であったり、機械的になることはまだまだないでしょう。私達助産師の活躍の場はまだまだありそうです♪

看護師との違い・産科医との違い

端的に言うとできる仕事の範囲が違います。

分娩の介助は、助産師はできますが、看護師はできません。あとは助産院の開業も助産師だとできます。
病院だと分娩室にいるのは(大体)助産師、でも産科病棟や産科外来では看護師も一緒に働いている、という感じです。(私の今まで経験した病院では)

助産師・看護師は別々の国家資格になり、少し前まで助産師の資格は持っているけど看護師の免許はない、ということが可能でした。(多分助産師の免許だけ持っている人は少数派だと思われますが)
2007年から看護師免許を持っていないと国家試験に合格しても助産師免許が発行されない、となりました。
故に現在日本の助産師は全員看護師でもあります。

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保健師助産師・看護師免許保持者のイメージ図※円の大きさは適当です

産科医もお産を取ります。しかし、産科医は異常分娩と言われる鉗子分娩、吸引分娩、帝王切開も対応できるし、会陰切開やその後の縫合、処方などあらゆる事ができます。医師ですから。

一方で助産師は正常分娩しか対応できません。助産院で分娩は取り扱っていても、異常になりそうになったら即医師に来てもらうか搬送しなければなりません。

熱い人が多いよ、助産師!

看護師は2016年時点で121万人います。助産師は2016年時点で4万人です。看護師と比べると圧倒的に人数の少ない助産師ですが、私の周りは助産師だらけ。その助産師達の誰もが熱い、熱い…誰も彼もが熱い。中には熱苦しい程の人も…

助産師には国家試験受験資格を得るためには看護師免許を持っていること(同じ年に看護師国家試験受験もOKなので、厳密には見込みでも大丈夫)に加え、助産実習を終えていることが必須条件となります。そして助産実習で一番の要はお産を10例介助すること!

この10例がハードルが高い…

  • 少子化でそもそもお産の数が少ない
  • 帝王切開も珍しくない(帝王切開は介助できない)
  • 麻酔分娩も増えてきた(最後の手段で数に入れることも場合によってはあるとか…)
  • 持病のある合併妊娠や卵子提供妊娠などハイリスクのお産は学生は担当できない

と学生が担当しても大丈夫そうな(と言ってももちろんベテラン助産師と一緒に介助しますのでご安心を‼️)ローリスクのお産の数が少ないのです。

お産の数が少ないと学校の生徒の枠も少なくなります。

一説では助産師国家試験よりも助産師学校入学試験の方が難しい場合もあるとか…。(国家試験は絶対評価ですが、入学試験は相対評価なので。)

というわけで、看護の実習だって割と皆ヒーヒー言いながらこなしたのに、熾烈な競争を勝ち抜いて学校に入らないと助産師になれません。

そして更に言うなら、助産実習は少なくとも看護実習後に行われるので、現場の厳しさが看護実習の比ではありませんでした。

看護学生で病棟で受け持つ患者さんは慢性疾患の方が多かったので、わからない事があれば調べて計画を立てて…と実習を行っていました。(もちろん基本的なこと、例えば血圧や脈の正常値や清拭や体位交換などの手技は覚えてないと怒られますが)

でもお産の場面では一刻一刻と状況が変わるので調べてくる暇はありません。「調べてきます!」なんて言った日にゃ、「なんで覚えてこないの!」と怒られます。(泣)
実習は初めてじゃないんだから甘えるな!と怒鳴られたり退場させられたり…泣いた助産学生は数知れず。

狭き門をくぐり、熱い助産師にしごかれ、来る日も来る日も分娩介助の数が足りるのか怯え、それを乗り越えないと助産師になれないのです。

それには熱い魂がないと乗り越えられないのです。

 助産師がみるのは妊婦さんだけじゃない。赤ちゃんだけじゃない。家族だ!

助産師は確かに妊娠・出産の場面で介在することがほとんどですが、妊娠と出産だけを取り扱う職業ではありません。

私がお世話になった助産学の先生は「妊娠出産という点で関わるのではなく、そこをキッカケに長い女性の生涯と女性を取り巻く家族へともっと広い範囲の人たちのサポートをすることが私達の仕事だ」と教えてくれました。
私は今でもその言葉を何より大事にしています。実際に子どもを産んで育てて、その想いはより強くなりました。
安心安全で希望通りのお産は素敵です。でもだからといってお産さえ良ければステキなお母さんに、ステキな家族になれるかと言ったらそうではありません。(良いに越したことはありませんけどね。)
大事なのはお産の場面だけじゃなく、その後も続くサポートだなって思ってます。今育児でてんてこ舞いの私からするとお産で大変だったり楽しかったりした思い出も振り返ると一瞬だったな、って思っちゃいます。

やっぱりこの仕事が好き!

そんな私は現在、夜勤を免除していただいてる都合もあって産婦人科外来で助産外来や母乳外来、医者の診察室の介助や保健指導をしたりして働いています。すごくやりがいを感じます。

妊娠したい人たち、妊娠中の人たち、そして産後の人たち、更年期や子宮筋腫など婦人科でくる方たち。助産師として一番の腕の見せ所(?)の分娩室からは離れていますが、ここは少しでも多く長く沢山の人に関われる場所なので、嬉しいです。

夏にはマレーシア渡航で一時退職となるわけですが、やっぱり帰ってきたらまたこの仕事をしたいなぁ、と思います。そもそもマレーシア渡航も海外での育児経験は助産師としてプラスになるのでは?と思ったりもして。好きな職業を見つけて、好きな職業に就くことができて幸せです。

そして一人でも多くの人たちのお役に立てるよう、精進しよう!決意新たな令和元年です。

昨日も今日も元気にお仕事させていただいています♪子どもたちを預かってくれているじじばばに感謝の気持ちでいっぱいです!
明日からは私もGWです。子ども達とも遊ばねばー

※おまけ

ちょっとだけお願いも書き込ませてください。

上でも少し書きましたが、助産師学生達は10例のお産を取らないと助産師国家試験の受験資格を得られません。もしあなたが、あなたのご家族がお産の時に「学生をつけさせてもらえませんか?」と病院から聞かれたら、もし…もし可能であればつけさせてください。
研修医とか学生とかたくさんの人にまじまじ見られたくない!と言われることがありますが、少なくとも助産学生は見学するためだけにあなたのお産に立ち会ったりしません。腰をさすり、体勢を整えるお手伝いをし、励まし続けます。そして、お産の一番大事な場面は、ベテランの助産師と一緒に介助します。

お産は産科医でももちろん取れます。産科医は異常分娩も対応できます。ただ産科医は数が少なく、皆さんのお産につきっきりで付き添うことは難しいのが現状です。皆さんに安全で安心なお産を提供するには、より多くの助産師が必要だと私は考えます。

助産師を志す仲間達にチャンスを頂けると有難いです。

 

 

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Odai「どうしても言いたい!」